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FujiSankei Business i. なるほど講座/独の付加価値税引き上げ(2007/1/6)



独の付加価値税引き上げ
財政赤字が条約抵触、景気への影響を日本注視
FujiSankei Business i. 2007/1/6

 ドイツは1日から、日本の消費税に相当する付加価値税の税率を16%から19%に引き上げました。これにより景気への悪影響が懸念されていますが、同国は財政再建を実現するために実施しました。

 日本でも、今秋の税制抜本改革で消費税率引き上げが議論されることになっており、今回のドイツの付加価値税率引き上げが経済にどういった影響を与えるかが注目されるところです。

 ドイツの税率引き上げの背景は何だったのでしょうか。

 日本の消費税率5%からすれば、19%の付加価値税率と聞くと、かなり高い水準にあると思えますが、実は欧州の中ではまだ低い水準です。

 欧州で税率が1けたなのはスイスの7・6%だけで、ルクセンブルクの15%、スペインの16%、イギリスの17・5%などを除けば、ほとんどの国が20%を超えています。なかでもデンマーク、スウェーデン、ノルウェーは25%という状況です。

 ちなみに、米国は州や郡、市によって小売売上税が課されており、例えばニューヨーク市は8・375%となっています。

 ドイツは、西ドイツ時代の1968年に、税率10%で付加価値税を導入しました。今回が7度目の増税となりますが、これまではすべて1%ずつの小刻みな改定でした。一昨年の総選挙後、付加価値税率引き上げを公約に掲げていたメルケル政権が誕生したことで、一気に3%も引き上げられることになりました。

 今回の引き上げは、財政再建が目的です。ドイツの財政赤字は2002年から05年まで、国内総生産(GDP)比3%を超えており、政府としては「財政再建は急務」と、増税の理由を説明しています。また、3%の増税分のうち、1%を失業保険料引き下げの形で還元して国民に理解を求めているほか、生鮮食品や新聞、書籍など生活必需品の税率は低く抑える「軽減税率」は従来の7%を維持しました。

 財政赤字がGDP比で3%というのは、欧州では大きな基準となります。統一通貨「ユーロ」を採用する際の条件として、各国は赤字比率を3%以下に抑えなければならず、それを超えると制裁を受けることが「マーストリヒト条約」によって定められています。

 ドイツはその規律を破った状態にあったのです。しかも、ユーロ導入の際、ドイツがこのルールを主張したという歴史もある上、ドイツは欧州共同体(EU)議長国となっており、ユーロ導入各国や、今後ユーロ圏に参加する周辺諸国に対しても示しがつかない状況でした。このルール違反を回避するための増税だったのです。

 付加価値税の引き上げは当然、個人消費への影響が懸念されることから、反対論も強かったのも事実です。独小売業連盟(HDE)は、小売業が被る悪影響は約80億ユーロ(約1兆2400億円)になると予想しており、増税の影響が大きい乗用車などでは昨年末に駆け込み需要が起き、その反動も予想されています。

 ただ、ドイツの景気の現状は90年の東西統一後、最も良いとされています。近く公表される07年成長率見通しも、グロス経済相が「現在の1・4%から、もう一段引き上げるだろう」と明言。景気回復期の増税のため、悪影響は一過性ですむのではないかという見方が強まっています。

 ここで問題になるのが、日本です。ドイツの財政赤字がGDP比3%超で問題視されましたが、日本の財政赤字はGDP比6%と、ドイツを大きく上回る状況にあります。

 にもかかわらず、財政再建の方向が明確になっているとはいえません。小泉前政権では、消費税率引き上げが封印されてきましたが、安倍晋三首相は今夏の参院選後に消費税議論を始めるとしています。

 その意味で、ドイツの増税と経済への影響は、今後の議論の中で大いに参考になることでしょう。(平尾孝)
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  by mtack | 2007-01-21 23:13 | tagebuch

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